観客賞
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TSOTSI (UK/南アフリカ) by Cavin Hood |
ディスカヴァリー賞 |
LOOK BOTH WAYS(オーストラリア) by Sarah
Watt |
国際批評家連盟賞
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SA-KWA(韓国) by
Kang Yi-kwan
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最優秀カナダ映画賞
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C.R.A.Z.Y by Jean-Marc Vallee
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CITYTV
最優秀カナダ映画賞
(新人賞) |
FAMILIA by Louise Archambault
THE LIFE AND HARD TIMES OF GUY TERRIFICO
by Micheal
Mabbott |
*日本からの出品作品はこちらから
◆概観◆
ノンコンペの映画祭ではあるが、ニューヨークやハリウッドに近く、ヨーロッパからのアクセスも良いという利点も手伝い、スター俳優・監督たちが文字通り続々来場しては話題を振りまく。どの映画祭でもそうだが、スターが登場することでメディア及び一般の人々の関心度は格段にアップするものだ。洋の東西を問わず、「スターを観たい」人々の多さと彼らの熱意にはつくづく驚くが・・・。
(写真右:インダストリー・スクリーニングの行なわれるマニュライフビル)
トロント映画祭はいわゆる映画業界の中でもビジネスの場として非常に有益な映画祭、としての位置付けが定着している。「目の肥えた観客の正直な反応」は(主に北米の)映画業界の中では重要視されており、ここでの観客の反応を見て、公開時期を決定する会社も多いとされる。業界パスを所有していさえすれば、8つのシアターのあるシネマコンプレックス内でのプレス・業界関係者用試写(公式上映作品として選ばれたものは自動的にこの試写を組んでもらえる)にはパスを提示するだけで入場でき、それこそその気になれば日に5、6本観続けることも十分に可能。同映画祭初参加で勝手がつかめず、あれこれ質問をしても、親切で事情に精通しているスタッフが的確な答えをくれる。トロント市民のみならず、映画業界関係者にも居心地の良い映画祭である。唯一難を言えば、映画祭事務局や関係各所が一箇所であったほしいという点であろうか。2006年の着工が決定した、‘フェスティヴァルセンター’のオープンが待たれる(2008年の予定)。
それにしてもただでさえ娯楽の多い大都市での映画祭は往々にして影が薄くなりがちだが、トロントの場合は市を挙げての大イヴェントにすることに見事に成功している。ひとつのTVチャンネルを期間中借り切り、映画祭チャネルとし、記者会見の模様等を流しつづけている。上映会場は市内のいくつかのエリアに点在、上映施設の規模も趣きも様々。夜は映画祭の公式&非公式の各種イヴェントが随所で繰り広げられ、たいへんな盛り上がりになる。同映画祭がトロント市に及ぼす経済効果は約6700万ドルとも報じられている。一般紙でも特別版で特集を出す。映画祭絡みのフリーペーパーも期間中、多数発行されていた。
スターもイヴェントも押し寄せる業界関係者も皆、映画祭を盛り上げる要素には違いないが、映画と観客あってこその映画祭である。手に入るかどうかも定かではない当日券を求めて、チケット売り場に早朝から辛抱強く列を作る大勢の人々に、トロント映画祭を直に支える映画愛好者の情熱を見た思いがした。
(ちなみにトロント映画祭公式ホームページに「偽チケットに注意してください」との告知が出ていた。ダフ屋も横行するほどなのだ・・・)
(写真上:マニュライフビル内のチケット売り場に並ぶ人々)
◆出品作品◆
ノンコンペ映画祭の強みで、先行するカンヌやヴェネチアで上映され、好評を博した作品を含む335作品が上映された(うちワールドプレミア109本、北米プレミア78本)。5月のカンヌ映画祭で多くの批評家より高い評価を得た、トロント出身のデビッド・クローネンバーグ監督の「ヒストリー・オヴ・ヴァイオレンス」、トロントを拠点として活動するアトム・エゴヤン監督の「Where
the truth lies」というカナダの二大巨匠の最新作を始め、来年3月の米国アカデミー賞を意識しているであろう、ハリウッド系大作が続々とお目見えしていた。(ここトロントでの観客賞はアカデミー賞の行方を占う一助ともなりうるといわれている)それらいわゆる大作に加えて,世界中の秀作を集めた数々の部門も充実、それぞれのファンがすでについているが、とりわけ毎晩深夜に1本上映される、ホラーなどのジャンル映画を揃えた「ミッドナイト・マッドネス」の根強い人気は特筆すべきものがあるようだ。
今年は例年になく日本からの出品本数が少なく、4本にとどまった。他のアジア作品との兼ね合いや諸々の事情が絡んでの結果と思われる。作品数が多ければよい、というものではないものの、やはり4本のみは寂しいものがある。一昨年に栄えある観客賞を「座頭市」で受賞した、北野武監督の最新作への反応は比較的静かで、フレッシュさは残しつつも、独特のリズムでありがちな音楽青春映画とは一線を画した「リンダリンダリンダ」への賛辞が目立った。
(写真:映画祭公式グッズ売り場のディスプレイ)
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