長編劇映画部門 |
グランプリ・オブ・アメリカ
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「長い散歩」 奥田瑛二監督
O MAIOR AMOR DO MUNDO(THE GREATEST LOEVE OF ALL)
by Carlos Diegues (Brazil)
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審査員特別賞
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SNOW IN THE WIND by Yang Yazhou (中国)
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最優秀監督賞
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Hans Peter Moland for Gymnaslaerer Pedersen (Norway) |
最優秀女優賞
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NI Ping for SNOW IN THE WIND by Yang Yazhou (中国) |
最優秀男優賞 |
Filip PEETERS
for DEL HEL VAN TANGER
by Frank Van Mechelen(Belgium,Spain) |
芸術貢献賞 |
Guy DUFAUX
for CHINESE BOTANIST’S DAUGHTERS
by Dai Sijie (France/Canada) |
最優秀脚本賞 |
WARCHILD by Christian Wagner
screenplay by Edin Hadzimahovic (Germany/Slovenia) |
観客賞 |
CHINESE BOTANIST’S DAUGHTERS
by Dai Sijie (France/Canada) |
国際批評家連盟賞 |
「長い散歩」 奥田瑛二監督 |
エキュメニック賞 |
「長い散歩」 奥田瑛二監督 |
*日本からの出品作品はこちらから
上映会場のシネマコンプレックス・オデオン
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◆概観◆
30回という節目の年を迎えたモントリオール世界映画祭。が、創設者で現在も代表を務めるセルジュ・ロジック氏が「記念イベントには特に興味がない。映画祭のメインはあくまでも映画の上映」と明言したとおりに、特別なイベントがあったわけではない。‘30年の歩み‘をポスターや写真、簡単な説明文で構成した展示が記者会見場(一般の人々も自由に見聞きできる)付近に作られ、ウェブサイト上にかつて同映画祭を訪れた錚々たる
映画人たちからの祝辞を掲載しただけにとどまった。
昨年SODEC、TELEFILM CANADAなどの公的スポンサーが撤退して以来、明らかに経済的には苦しくなっている同映画祭であるが、長年この映画祭に親しんできた観客の足は遠のいていない。昨年まで多くの上映が行われてきた老舗のシネマコンプレックス、「パリジャン」が今年は会場から外れ、変わって学生街・カルティエ・ラタンの「シネプレックス・オデオン」に移ったが、相変わらず休日や夜の上映は市民でごった返していた。
オデオン前に設置された
映画祭グッズを販売するブース |
経費削減のしわ寄せは主にセレモニーや人件費にきているようだ。開会式・閉会式の簡素化、ボランティアに多くを頼るオーガニゼーション・・・。とはいえ、毎夜二回、メイン会場脇の大通りで催した野外スクリーニングには多くの市民が押し寄せ、例年より格段に冷え込んだ初秋のモントリオールであったが、夜空の下での観賞を心から楽しんでいる様子だった。スポンサー問題をはじめいくつかの難題を抱えている同映画祭であるが、一度は脱退した国際映画製作者連盟にも再加入、市民の支持を武器に巻き返してもらいたいところである。
出品作品についていえばヴェネチア映画祭とほぼ同時期で、トロント映画祭の直前のこの時期、目ぼしい作品を集めるのは至難の業になってきてしまっている。特に北米の配給業者からの協力を取り付けるのが難しくなっているともいう。
モントリオール映画祭だけに限ったことではないが、通訳の手配が行き届いていない映画祭が近年増えてきているように思う。少なくとも公式上映の際の舞台挨拶、質疑応答に関しては映画祭側が責任をもって確保すべきだと思うのだが・・。
◆日本からの映画作品◆
グランプリを受賞した
奥田瑛二監督と安藤和津さん |
奥田瑛二監督の「長い散歩」グランプリ受賞のニュースが受賞式翌日、日本でも大々的に報じられて話題を呼んだ。児童虐待を真摯に描いた同作はモントリオールの観客にも大きな衝撃を与え、会期中から賞レース本命の一作と目されていた。先立って発表された国際批評家連盟賞、エキュメニック賞に続いて、キャシー・ベイツを団長とする審査員団は、本年度二本あったグランプリのうちの一本にこの作品を選んだ。日本国内では俳優としての実績から知名度の高い奥田氏であったが、監督作品3作目の同作で本格的に監督としての手ごたえを感じたといい、今後の飛躍が期待される。12月の日本公開にも弾みがついたといえるだろう。他にも中国の’SNOW
IN THE WIND’やベトナムを舞台とした‘CHINESE BOTANIST’S DAUGHTERS’の数々の受賞など、アジア映画の健闘が目立った。
今年の日本映画は日本国内ですでに興行において成功を収めていたエンターテインメント性に富んだ作品が多く、ヴァラエティ豊かな作品群であった。それぞれの上映に日本人の観客が多かったのも特徴。その中でもファーストフィルム・コンペティション部門の2本の日本作品「赤い鯨と白い蛇」には当地在住と思われるやや年配の人々、「タイヨウのうた」には留学中・旅行中の若者とはっきり観客の色分けができていたのも面白かった。
毎年モントリオール映画祭には多くの日本映画が出品されるものの、監督及び出演者など関係者が映画祭に参加することはここ数年減少していた。今年は例年になく個性的な出席者が多く観客との質疑応答にも積極的に応じ、盛り上がりをみせていた。
モントリオールの街中を歩く
「赤い鯨と白い蛇」せんぼんよしこ監督 |
観客からのサインの求めに応じる
「男たちの大和」佐藤純彌監督 |
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