*日本からの出品作品はこちらから
普段はあくまでも静かで、ゆっくりとしたリズムで時が流れているであろうこの街も、映画祭の2週間は様々な国の人々で活気づく。が、そうはいってもやはり参加者の多数を占めるのは近隣のヨーロッパ諸国(フランス、イタリア、イギリス、ドイツなど)からの人々。公式カタログがイタリア語、フランス語、ドイツ語、そして英語の4ヶ国語で書かれていることからも推測できるように、とても「ヨーロッパ」なのである。(ただしユーロはほとんどの店で使えないが)イタリア色が最も強く、スイスの他の地域に較べてこのあたりはジェラートのおいしさは格別だという。 典型的な山の天気であるため、突然の雨に見舞われることもたびたびで、すっきり晴れていても鞄に傘をしのばせて正解だというのは、ロカルノ映画祭の常連たちの間では常識である。特に今年のピアッツア・グランデでの上映は受難続きだった。7000人収容のこの野外上映はロカルノ映画祭の名物で25スイスフラン(2250円〜2300円)という決して安くはない入場料にもかかわらず、連日大盛況。心地良い涼しさを感じつつ、満天の星の下での映画鑑賞は夏の年中行事として楽しみにしている地元の人々も多いのであろう。前衛的な作品や社会問題を扱った硬派な作品が多数を占める同映画祭の中で、この部門だけは趣を異にする、というのが従来のイメージであった。くつろいで観られるラブストーリーやコメディ、視覚的にインパクトの強い作品(たとえば日本の「アップルシード」;クロージング作品でもあった)を敢えて選んでいるようで、今年もそれはそれとして踏襲されつつも、少々様子が異なっていた。アメリカの政治を扱った劇映画(「ALL THE PRESINDET’S MEN」)及びドキュメンタリー(「THE HUNTING OF PRESIDENT」)がこの大会場で上映されたのである。この例でも明らかなように、今回のロカルノ映画祭におけるアメリカ政治を題に取った作品の存在感は特筆すべきものがある。シネアスト・ド・プレザント部門の「UNCOVERED:THE WAR IN IRAQ」も政治的メッセージ色の色濃いドキュメンタリーであった。今回のこの傾向は目下ヨーロッパにとってもアメリカの政治状況は大変な注目をもって捉えられているということの表れとも言えるだろう。(5月のカンヌ映画祭でのマイケル・ムーア監督の「華氏911」のセンセーションにも顕著であったが) ロカルノの街のシンボル、豹をモチーフにした商品の多様さには相変わらず目を奪われる。(そしてしばらくすると食傷気味になったりもする)毎年映画祭のオフィシャル・ショップに足を運ぶとかなりの割合で新商品が出ているのに気づく。豹柄のライター。豹柄のバッグ。豹柄のスカーフ,ネクタイ、メモ帳、キーホルダー・・。好みかどうかはさておき、ここまで徹底されると見事。 ロカルノ映画祭を訪れて毎回感じるのは観客のマナーの良さ、上映作品に対する温かい視線とまっすぐな批評精神である。上映が始まると私語はまず止む。席取りのためにカーディガンなり荷物なりを置いて離席しても安心していられる映画祭は世界中にもそうそうはない。オーガニゼーションに関しては毎度の不満がなかなか解消されないのが残念。これも文化の違いなのだろうか・・・。
◆出品作品◆ Human rights, News Frontといったセクションは社会性、政治的論議を呼びそうな作品が多くを占め、In Progres,Video Competition中には実験精神に富んだ前衛アートと呼べる作品が目立ち、斬新さに満ちている。それらの作品群のどれをとってもいわゆる娯楽映画とは一線を画している。 映画祭の常連ゲストたちに毎年好評を博しているレトロスペクティブ部門は今年はNEW FRONTと題して(定義が難しいが・・新聞を賑わせた事件を扱ったような作品:ex.「ドレフュス事件」メリウス、「欲望」アントニオーニ、「市民ケーン」オーソン・ウェルズ等々)見応えのある名画プログラムが組まれ、レトロスペクティブ上映館REXは連日多くの名画ファンで賑わっていた。 ◆日本からの出品作品◆ |
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