New Currents Award
 “THE CHARMING GIRL” by Lee Yun-ki
NETPAC賞
 “3-IRON” by Kim Ki-duk
国際批評家連盟賞
 “SOAP OPERA” by WU Ershan
観客賞
 「SURVIVE STYLE 5+」 関口現監督
*日本からの出品作品はこちらから


概観
 
ウォン・カーウァイ監督の話題作、「2046」をオープニング映画として華々しく幕を開けた第9回釜山映画祭。ウォン監督と主演のトニー・レオンをゲストに迎え、5000人収容の野外劇場を満員の観客が埋め尽くした。

 釜山市をあげて、映画祭を盛り上げようとしている姿勢がそこかしこに感じられる。今年も内外からのゲストがひしめき合い、毎夜何らかのパーティが催されるといった光景が繰り広げられた。
(写真左:多くの人々で賑わう、メイン会場“Sfunz”の前)

 昨年同様に鑑賞チケット入手の困難さには閉口した。市内数ヶ所に設置されているチケット発券所には9時前から長蛇の列、発売開始時刻から数分後には売切れてしまうという事態にもちろんあちこちから不満が噴出。映画を鑑賞したいという人々(外国からの業界関係者も含めて)に対して、とにかくキャパシティが少ない。新しい上映会場が設立されるという2008年まで待たなくてはならないのだろうか・・・。他の劇場の併用や追加上映などの何らかの対策が急務と思われる。

 毎年のことながら熱意溢れるボランティアの人々には感服した。熱心に真面目に業務を遂行しようと努めているのに加えて、自らも楽しもうとしている姿勢に好感を覚える。真面目なあまりに融通が利かな過ぎるきらいがあるのが玉にきずだが。

 映画祭ディレクター、Kim Dong Ho氏は2005年度の映画祭開催にあたって、ベルリン映画祭を範にとったTalent Campusや、アジア映像アカデミーのような教育機関の創設、書籍&写真展の併設など諸々の新事業に思いを馳せているという。創設時から現職に就き、常に前を見ている同ディレクターの気持ちの良い野心と誠実さが、映画祭発展に大きく寄与していることは間違いない。
(写真右:映画祭ゲスト向けのホスピタリティ・ルーム)


日本からの出品作品
 
今回は計22本もの日本映画が出品された。韓国において日本映画は興行的には勢いがあるとは言い難いが、映画祭となると話は別で、映画祭プログラマーによればアジア映画の中でも特に注目され、人気を博しているのだそうだ。今年は日本映画解禁以前から絶大な支持を得ている岩井俊二監督やSMAPのメンバーのひとり、稲垣吾郎氏をはじめ多数の監督・俳優が来韓、映画祭を盛り上げた。前出の岩井俊二監督の「花とアリス」や崔洋一監督の「血と骨」などが大きな話題を呼んだ。新人監督作品を対象にしたニュー・カレント部門には今回は「犬猫」と「SURVIVE STYLE 5+」の2本が選出され、その結果後者が観客賞を受賞した。

 PPP期間中にユニ・ジャパン(日本映画海外普及協会)が日本映画情報発信拠点として、PPPの開催場所であるパラダイスホテル内にひと部屋を構えた。同協会がこのように拠点を設けるのはベルリン、カンヌ、トロントに続いて年内で4箇所目、アジアでは釜山のみで、日本映画情報を求める人たちの間ではすでに広く認知されている。11月には文化庁主催の日本映画特集がSeoul市で組まれることが決定、映画祭会期中に記者会見が行われた。また日韓の共同制作もまったく珍しいことではなくなり、その一例「力道山」のプロモーションを兼ねたパーティが映画祭中に盛大に開かれたりとさまざまな形で日韓の映画を通じた交流が着実に進行し続けている。
(写真左:ユニ・ジャパンのデスク)


セミナー
  第2回アジアン・フィルムメーカー賞(顕著な功績を残しているアジアの映画作家に贈られる)は侯孝賢氏に授与された。侯監督の最新作、「珈琲時光」が上映されたほか、同監督自身による‘My Life, My Cinema’と題したセミナーが一般の人々向けに行われた。他にも今回のインドネシア特集に絡めたセミナー、アジアドキュメンタリーなどについてのセミナーが識者を招いて開かれ、熱のこもった議論が繰り広げられた。


PPP
  7日〜9日まで行われたPPP(釜山プロモーションプラン)の活況ぶりも絶好調の韓国映画界を反映していた。今年の参加者は1000人にのぼったとのことである。PPPは例年映画祭期間に開かれ、今回で7回目を数えた。映画製作者・配給会社など業界関係者を対象に、準備段階中の企画への出資、作品の売買などのためのミーティングの機会を提供する場として十分に機能している。今回は韓国映画「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督などの15カ国23企画が交渉に臨んだ。アジアの主だった業界関係者が一堂に会する場と言っても過言ではなくなっている。昨今の日本国内における韓国テレビドラマの爆発的人気を背景に、日本人配給業者の参加が例年以上に目立った。既存の作品の売買はもちろんであるが主だった作品の多くはすでに買い手がついていることが多いとはいえ、現在進行中の企画についての情報交換の場としてたいへん有益である。地理的にも近いという利点のおかげで、2、3日だけ来韓する人もそう疲れもなく活動できるようだ



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