「PEEP "TV" SHOW」は土屋監督の長編第2作目。
覗く(盗撮し、ネットでその映像を配信する)ことで他者を発見し、
自らのリアルに触れようとする主人公と、そのことに共感する少女の話。
主人公が盗撮する映像と、それをリアルタイムで放送しているインターネット上の映像、
そしてその映像を実際にパソコンで覗いている映像、
あるいは町に設置された監視カメラの映像等により重層的な映像世界が構築され、
メディア社会のリアルの転倒が表現されている・・・。
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Q.ロッテルダム映画祭の印象は |
土屋:
自由で活気があり、そしてシステマティックできちんとしているというのが第一印象です。
以前に参加したアジアの映画祭に較べ、行動も自由で、そのパターンを好む自分としては楽です。
お客さんが好意的なのもありがたいですね。 |
Q.「PEEP "TV"
SHOW」を観た観客の反応は |
土屋:
極端な反応が多かったです。あまりにも暗過ぎて救いがないじゃないかと席を立つ人もいた一方で、この作品中で描かれるどうしようもない孤独感に共感を覚えると言ってくれたお客さんも少なくありませんでした。
雨宮:
(劇中で虐待される)猫はどうなったのか、という質問も多かったです。
スタッフのひとりの飼い猫で、ぴんぴんしています。こちらのお客さんは
とても気になってしまうらしかったです(笑)。
それに 準主役の女の子の「ゴスロリ」(=ゴシック・ロリータ)ファッションは実在するのかどうか、
というのも。原宿などを中心にちゃんと実在しています。 |
Q.国際映画祭へ作品を出す意義 |
土屋:
自分が作品中で訴えようとしていることが普遍性を持つものなのかどうかを知る良い機会です。
雨宮:
なんといっても多くの人の感想を聞けるという点でしょうか。
またある映画祭へ出品することによって、さらに別の映画祭に招待されることが少なくないのもメリットです。
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Q.「PEEP "TV"
SHOW」を通じて訴えたかったことは敢えて端的に言葉にするとしたらどんなことでしょうか? |
土屋:
ネットをはじめとする仮想世界と現実との境界がおかしなことになっている、という状況の中でリアリティを得ようとあがいている人々が共感できるような映画を作りたかったと言えます。私たちは覗き部屋の観客であると同時にモデルでもあり、その覗き部屋を出て他者と出会うこと、自分自身のリアルを奪還することの闘いを描きたいという思いがありました。こうしたリアリティの混乱はもう止められないところまできていて、不可逆的と言えます。そしてそれを自覚することでむしろ突破口が開けるように思えます。
この作品中には、そういうリアリティの混乱によって困ったことになってしまった人々がたくさん出てきます。しかし、その困った感じというのは、程度の差はあっても現代の多くの人々が抱いている違和感と共通するものがあると思います。この作品が拒絶ではなく共感を生み出し、コミュニケーションへとつなげて行けたらと願っています。そうすれば、微かながらも未来に対して希望が持てる気がします。
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ロッテルダム映画祭にて
写真右より:土屋豊監督、脚本の雨宮処凛さん、主演の長谷川貴之さん
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