第2回目のカレイドスコープは、溝口健二監督についてご紹介します。
本財団の業務に、「映画を通じての海外との交流」がありますが、これは創設者・川喜多かしこの願いであるとともに、川喜多長政の夢でもありました。
1923年にドイツへ留学した長政は、日本に対する間違った認識の酷さに、いつかは正しい日本を紹介したいとの希望を抱き、映画の輸入会社を設立すると同時に、日本映画の海外紹介を計画しました。
そこで先ず選んだのが、溝口健二監督の『狂恋の女師匠』でした。また、かしこの入社して最初の仕事が、この『狂恋の女師匠』のパンフレットを英訳することでした。かしこはパンフレットにある“恋よ恋、われ中ぞらになすな恋”などとある文章を、「素晴らしく訳してみようと張り切った」と書き残しております。
(写真左:『狂恋の女師匠』のセットにて、作品輸出の打ち合わせ。左より主演の酒井米子さん、川喜多長政、溝口健二監督。写真右:東和商事の事務所にて、仕事をする川喜多かしこ。1934年頃撮影。)
『狂恋の女師匠』のセットにて
左より、溝口健二、酒井米子、川喜多長政