公益財団法人川喜多記念映画文化財団

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パノラマ

アラブ:未知との遭遇 ページ2  2013年1月17日掲載

 
 

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ドバイクリーク沿い;
歩いているのは男性ばかり…

 日が暮れかかってきて、なんとなく心細くなり(*実際にはドバイの犯罪発生率はきわめて低いそうである)、足早にその地区を立ち去り、すぐ近くのドバイクリークと呼ばれる川沿いへ向かった。ドバイクリークは市街中心部を流れる長さ10kmに及ぶ天然の入り江で、メソポタミア文明とインダス文明の中継貿易拠点としてドバイが発展してきた際に中心的な役割を果たしてきたという、まさにドバイの歴史と文化発祥の地。20世紀半ば過ぎに石油が発見されるまで、ドバイが漁業と真珠採集を主な産業としていた頃もたいへん賑わっていたそうだ。ドバイクリークを航行している渡し舟「アブラ」が妙に絵になる。乗ってみたい、と思ったがここでまたしても違和感が。見る限り、乗客はすべて男性なのだ。そして舟からは多くの目に思いきり凝視されているのがわかる。こちら側の自意識過剰とかいうのでは決してなく、明らかにものすごく見られている。。。アブラに女性が乗っていることもあるにはあるらしいが、その場合も男性が同伴、もしくは観光客のふたり連れ以上、だったりするらしい。ガイドブックの中には「女性は男性と一緒に乗るとよいでしょう」といったファジーな書かれ方をしているものもあり、腑に落ちないところがあったが一瞬にして納得した。もちろん女性一人で乗ってはいけないことはないようだが、やはり躊躇してしまうだろう・・。というか、とてもひとりで乗る勇気はない。また、クリーク周辺を散歩しているのもほぼ男の人のみ。主に男性が2−3人で連れ立って歩いている。女性とそぞろ歩き、ではない。ちなみにモール内では民族衣装のカップル(あるいは家族連れ)も普通に見かけた。やはり場所によって使い分けているのだろうか。

モスクに併設する塔「ミナレット」(奥)
ここから放送が流れる。

 クリーク沿いを歩いていると、近くのモスクからだと思われる抑揚の効いた音声が延々、拡声器から流れてきた(‘ミナレット’というモスク併設の塔から流れているそうだ)。20分はゆうに続いたのではないだろうか。お祈りの時間がきていることを近隣の人々に知らせているらしい。この放送、日本で耳にする石焼き芋売りの車から流れてくるあのメロディアスなアナウンスによく似ているような。

 ほんの数時間でもさまざまな衝撃に遭遇したドバイの街歩き。多民族がそれぞれの慣習を堅守したり、緩めたり、他の文化に寛容であったり、といろいろな知恵を使って上手に共存しているところがドバイの成長の秘訣なのかもしれない、と感じたひとときであった。

<おわり>

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