公益財団法人川喜多記念映画文化財団

千代田区一番町18番地 川喜多メモリアルビル

川喜多賞

第7回川喜多賞
佐藤忠男・久子御夫妻


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●選考理由
 佐藤忠男氏は、広い視野に立った鋭い分析と卓抜な構成力により映画評論の水準を高めるとともに、時代を遡及して映画史の再検討に努める一方、第三世界の映画に強い関心を払うなど、精力的な活動を続けてこられました。著書は100種を数え、中でも「キネマと砲声」は、豊富な資料に裏付けられた不朽の労作であり、「カレンツ・イン・ジャパニーズシネマ」は、日本人の観点から初めて英文で書かれた日本映画の総論として世界に大きな反響を呼びました。
 ここ10年間、世界各国から講演やシンポジウムに招かれること引きも切らず、その数37回に及ぶ上に、「南アジア映画祭」「アフリカ映画祭」「日中交換映画回顧上映」「ASEAN映画週間」 などの企画に中心的な役割を果たされてきました。それらのために訪れた先は26カ国、39都市に達し、映画を通じての国際親善に大きく貢献されました。
 佐藤久子夫人は、夫君のこうした海外活動の大部分に同行して、夫君を助けるとともに、来日する外国人の日本映画研究に協力、外貨を持参することの困難な国からの研究者に自宅を提供されるなど、御夫妻の協力による国際交流の成果はめざましいものがあります。
 また、御夫妻が私財を投じ、共同で編集発行に携わる「映画史研究」は、すでに22号を数え、営業誌には望めない貴重な論文の数々が掲載されてきました。

      

贈賞式の模様(1989年3月24日)


佐藤御夫妻(左)と賞状を読み上げる川喜多かしこ前理事長


お祝いに駆け付けた小山明子さんより、花束の贈呈




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