公益財団法人川喜多記念映画文化財団

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国際交流

映画祭レポート


◇ドーヴィル・アジア映画祭 2011/3/9-13
  Festival du Film Asiatique de Deauville


受賞結果
LOTUS DU MEILLEUR FILM
(最優秀作品賞)
 ETERNITY (『HONEY』) Sivaroj KONGSAKUL監督 (Thailand)
LOTUS DU JURY
(審査員賞)
 「海炭市叙景」 熊切和嘉監督
  THE JOURNALS OF MUSAN  PARK Jungbum監督 (South Korea)
LOTUS AIR FRANCE
(批評家賞)
 「冷たい熱帯魚」 園子温監督
LOTUS ACTION ASIA
(最優秀アクション作品賞)
 TRUE LEGEND Yuen WOO-PING監督 (China)
(『』内は英語題名) *日本からの出品作品はこちらから

◆概観◆

メイン会場近くの映画祭ゲート
 
ご存知、「男と女」の舞台です
 

 ドーヴィル・アジア映画祭はノルマンディー州ドーヴィル市にて1999年、アジア映画に特化した映画祭としてスタートし、今年で13回目を数えた。ドーヴィル市はパリから車で北西に2時間半ほどのところに位置する優雅な海辺のリゾート地。夏は外国人客はもちろんのこと、多くのパリ市民たちで賑わうという。また同市は世界的大ヒット作となった映画『男と女』の舞台としても知られている。3月は海開きにはまだまだ早く、街はいたって静かで落ち着いた佇まいをみせていた。同市では9月にはドーヴィル・アメリカ映画祭と銘打ったフランスにおけるハリウッド映画のショーケース的な映画祭も開催され、その際にはハリウッドスターが多数来訪し、町は非常に華やかな雰囲気に包まれるとのことである。
 ドーヴィル・アジア映画祭のメイン会場は同アメリカ映画祭と同じ施設、Centre International de Deauville。各映画の上映に加え、オープニング・クロージングといった式典や映画祭の関連イベントも同所で行われる。他の二上映会場もホテルから容易に歩いてゆける距離で非常に便利。全体的にコンパクトな映画祭で、ゲストへのケアも行き届いている。
 同映画祭は海外からいわゆる‘映画業界人’が大挙して訪れるタイプの映画祭とは異なり、地元密着型のイベントという様相が濃い。豪華な顔ぶれの審査員たちも基本的にはフランス映画界で活躍するフランスの映画人。観客層は比較的年齢が高い印象であったが、授業の一環として訪れていた近隣の市の(映画を専攻している)大学生、高校生の姿も目立った。フランスは世界的にみてもさまざまな国・ジャンルの作品を配給・上映する国ではあるが、そうはいってもパリ以外でアジア映画を劇場で見る機会は稀少、市民及び近隣の町の映画好きの方々は毎年この映画祭を心待ちにしているとのことである。プログラムは<メインコンペティション>、<パノラマ>、<アジアン・アクション(コンペティション)>、そして<オマージュ><監督特集>で構成され、アクション部門以外は作家性の強い作品が大半を占めた。観客の入りはたいていの回はまずまずであったが、躊躇なく途中で席を立つ人々も少なくなかった。日本ではめったに見られない光景である。映画上映に加えて、メイン会場の地下ではパネルディスカッションなど各種のアジア絡みのイベントも行われた。日本からは京都府のお茶メーカーの方々が≪ Thexpo ≫と称して日本茶や和菓子を振る舞い、点茶のデモンストレーション行うイベントを催し、人気を博していた。

Thexpoの会場の様子
 
美しいドーヴィルの街並み
 


◆日本映画◆

地元の記者から取材を受ける
「海炭市叙景」チーム
 

 比較的若手の監督の作品を中心に構成されるコンペティション部門10本の中にそれぞれ趣きの異なる4本の日本映画が選出された。『ノルウェイの森』はオープニング作品として華々しく上映され、その独特の映像美で観客を魅了。『海炭市叙景』は審査員賞、『冷たい熱帯魚』は批評家賞をそれぞれ受賞した。また受賞こそ逸したものの『臍帯』は観客の反応が素晴らしく、上映後監督が観客からの称賛と質問攻めにあっていた。
 会期中に日本では東日本大震災が発生しフランスでも大々的に報道され、映画祭は一転追悼モードに様変わりした。各上映の前には必ずといってよいくらいそれぞれの作品の監督から、閉会式には映画祭当局者から日本へのお見舞いの言葉が述べられ、日本人参加者にも温かい心遣いをしていただいた。




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