公益財団法人川喜多記念映画文化財団

千代田区一番町18番地 川喜多メモリアルビル

所蔵資料

資料探訪
『生誕100年 川喜多かしこ展』


川喜多かしこ(1930年頃)

 7月25日より東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催されている「生誕100年記念 川喜多かしこ展」は、川喜多かしこが関わった映画や、世界の映画人たちとの交流を窺い知ることのできるさまざな資料が展示されており、現在は第二期の展示が始まっています。

 展示室の中でまず最初に目に入ってくるのは、製作国のオリジナル大型ポスターです。第一期では、『巴里祭』(1933年)のオリジナルポスター(サイズ:タテ155cm×ヨコ233.5cm)が展示されていましたが、第二期では『会議は踊る』(1931年)に展示替えが行われました。これは川喜多長政・かしこ夫妻が映画の買い付けの際に入手たもので、サイズはタテ196cm×ヨコ203cmと大変に迫力のある大きさです。さらには、『たそがれの女心』(1953年)、『赤と黒』(1954年)、『ナポレオン』(1955年)のオリジナルポスターも3点が壁一面に並び、そしてフェデリコ・フェリーニ監督や黒澤明監督がデザインしたカンヌ国際映画祭のポスターなども展示され、その芸術性の高さはとても見応えがあります。
      


『巴里祭』オリジナルポスター

また、細やかで表現力豊かな筆のタッチで描かれた、野口久光氏による日本公開版ポスターも数多く展示され、名作の数々を懐かしむことができます。

  
野口久光氏の描いたポスター
左:『ジェニイの家』(1938年)、右:『大人は判ってくれない』(1960年)

 60点以上も展示されている写真には、かしこが国内外の映画監督や俳優たちと一緒に収まっており、その交流の幅広さに驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。NHKの「女性手帳」など、かしこが出演したテレビ番組などもビデオで上映しており、映画について話すかしこの姿をご覧いただけるようになっています。これらの映像からは、穏やかな口ぶりの中にも、かしこの映画に対する熱い思いがひしひしと伝わってきます。
 かしこに送られた手紙やカードも展示されており、絵が描かれたもの、達筆な文字で書かれた年賀状など、どれも映画人らしい個性に溢れており、著者サイン入りの献呈本と並び、資料としても貴重なものといえます。


そうそうたる世界の映画人が揃った、モントリオール世界映画祭にて(1977年)
左より エディ・コンスタンティーヌさん、グロリア・スワンソンさん、川喜多かしこ、
ジャン・ドラポー/モントリオール市長、宮城まりこ監督、山本薩夫監督、
ハワード・ホークス監督、セルジュ・ロジック同映画祭ディレクター、
パオロ・タヴィアーニ監督、ジュリアーニ・デ・ネグロ/プロデューサー



カンヌ国際映画祭にて(1978年)
左より 吉行和子さん、藤竜也さん、小山明子さん、
大島渚監督、川喜多かしこ、長政


1933年度
キネマ旬報・
外国語映画部門
『制服の処女』
第1位受賞トロフィー

 その他にも、かしこが実際に身に付けていた紫色の着物や、まだ海外への渡航が大変だった時代に愛用していたトランク、映画祭などで受賞したトロフィーや勲章など、かしこが映画と共に歩んだ人生を象徴する品々が展示されています。


 この「生誕100年記念川喜多かしこ展」は、12月26日まで開催されております。ぜひ皆さまに足を運んでいただき、 “映画は世界を結ぶ”という、かしこの思いを一人でも多くの方にお伝えすることができれば、私たちにとってもこの上ない喜びです。
 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。