公益財団法人川喜多記念映画文化財団
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続・シナリオを書いてみませんか? その5 2012年10月31日掲載
●感動を呼ぶシナリオ(2)
刑事ドラマ「太陽にほえろ!」も 成長物語として企画しました。 |
私たちの40年代の「青春学園ドラマ」では、初恋物語か、友情物語がほとんどでしたが、それでは社会的広がりがありません。そこで、昭和50年、「望」と「愛」の葛藤のドラマを作ろうと考えたのが「俺たちの旅」でした。「望」は青年の将来の夢と考え、「愛」は挫折と励ましという形にして、このドラマを作りました。もともと、青春ドラマというのは、将来の夢と現実の重みとのせめぎあいで成長していく青年の話として構成されるものです。単なる初恋物語だけでは面白くありません。恋愛観は個人的なもので、それを一般化することはすごく難しい作業です。その初恋を邪魔するモーメントも無理解な親であったり、貧乏であったりするのはありきたりです。そこに、将来の夢という問題をからませて、主人公を悩ませ、成長させていかなければ、面白い青春ものは作れません。
「太陽にほえろ!」は新人刑事の成長物語として企画しました。主人公たちの職業が刑事なので、刑事ものというレッテルをはられていますが、制作サイドとしてはあくまで青春ものという感覚で作っていました。若い男が一人前になりたいと努力するさまを「望」として描いたのです。そして、この若い男の成長をじっと見守る先輩たちの姿を「信」と「愛」としたのです。
みなさんも、この「信・望・愛」の精神で、感動的な素晴らしいシナリオを書いて下さい。
<おわり>