公益財団法人川喜多記念映画文化財団

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パノラマ

続・シナリオを書いてみませんか? その3  2012年10月17日掲載

 
 

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●登場人物(2)



人物のキャラクターは、
何気ない動作で表現できます。

 登場人物の面白いキャラクターはどうやって見つけるのかといいますと、まず、あなたの周りの人をよく見て下さい。多少カリカチュアしなければならないでしょうが、興味をそそる人物がいるはずです。その人がどういう話し方をするか、右利きか左利きか、メガネを掛けているかなどなど、その人の日常を観察してみましょう。きっと面白いキャラクターを想像することが出来ると思います。周りに面白い人がいなければ、山手線に乗ってみてはいかがですか。これは萩原健一に教わったことですが、役をもらうとその人をどう演じるかを考えるために、山手線に乗って役に合いそうな人をさがし、その人がどういう動きをするかを観察するのだそうです。すると、役として与えられた人物を生きた人間として演じられるというのです。シナリオ作りでも同じです。山手線は一日中乗っていられます。きっとあなたが目指している人物が見つかるでしょう。

 人物のキャラクターは、日常のなにげない動作でも表現できます。アメリカのある大プロデューサーの笑い話で、「エレベーターに乗った男女が恋人か夫婦かを見分ける方法は、男が帽子を取っていれば恋人、被ったままだったら夫婦」といったそうですが、このように、一寸したことで設定なり、キャラクターなりを表すことが出来ます。セリフでも、その言い方やリアクションでその人物の性格を表現出来ます。そして、ドラマの最後にこの性格を利用した解決策を考え出すことが出来ると観客を納得させるリアリティのあるシナリオとして称賛されることになります。

 最後に、主人公を際立たせることをお勧めします。そのもっとも有効な手段は主人公の初めての登場シーンを魅力的にすることと、最後のシーンに主人公を登場させることです。「太陽にほえろ!」で、松田優作を登場させる場面を考えたとき、もっとも刑事らしくないところから登場させるのが一番印象付けやすいと思い、留置所から登場させることにしました。同じく「太陽にほえろ!」で、番組のラストカッットを常に、石原裕次郎氏の顔のアップにすることにしました。犯人が逮捕され、ストーリーが終わってしまっているのに、わざわざ石原氏の出ているシーンを設定し、この画を撮りました。これもむだのようで、主人公を魅力的にみせる手段として大切なことだったと思います。

<その4へつづく>   

執筆者紹介 岡田晋吉

 1935年、「鎌倉」生まれ、慶応義塾大学文学部仏文学科1957年卒業。
 石原裕次郎とは慶応義塾大学の同期である。 1957年、日本テレビ放送網株式会社に入社。アメリカ製テレビ映画の吹き替え担当を経て、1964年から日本製テレビ映画のプロデューサーとなる。 作品は、アメリカ製テレビ映画:「世にも不思議な物語」「幌馬車隊」など、テレビ映画としては、「青春とはなんだ!」「飛び出せ青春」「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「俺たちの旅」「俺たちの朝」「あぶない刑事」「いろはの“い”」「俺たちは天使だ!」「忠臣蔵」「白虎隊」「警視K」など多数。 竜雷太を初めとして、松田優作、中村雅俊、勝野洋などを育てた。
 現在は「公益財団法人川喜多記念映画文化財団」の業務執行理事。

 

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