●選考理由
　ニューヨーク・ジャパン・ソサエティー映画部門ディレクター平野共余子氏は、1986年以降同所で、アメリカにおける日本映画紹介に献身的に尽くされています。そして平野さんの企画上映は、全米各地に展開されるケースも多く、好評を博しています。自ら準備段階での面倒な手続きをクリアしながら、企画上映にこぎつけられるまでの平野さんの長年の努力が、ジャパン･ソサエティーをアメリカにおける日本映画紹介の拠点とすることになったと言えるでしょう。
　平野さんは1976年、ベオグラード大学大学院・演劇映画テレビ・アカデミーに留学、以降ニューヨーク大学大学院・映画研究科博士課程を経て、1988 年に同大学院博士号取得まで学究の道を歩まれ、研究成果の博士論文は1992年にアメリカで出版され、1998年に「天皇と接吻-アメリカ占領下の日本映画検閲」のタイトルで、その日本語版が刊行されました。精緻な資料渉猟と、裏付けとなる証言取材が、アカデミックな姿勢で記述されている同書は、読む者を啓発します。このほか、ニューヨーク大学大学院、ニュー・スクール大学で日本映画の講座を担当されました。
　以上のお仕事は、川喜多賞贈賞にふさわしい業績であると選考委員会で決定されました。

　　　　　　

贈賞式の模様（1999年7月27日）


賞状をお受け取りになる平野共余子氏


受賞の挨拶をされる平野氏




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