公益財団法人川喜多記念映画文化財団

千代田区一番町18番地 川喜多メモリアルビル

川喜多賞

第16回川喜多賞
羽田澄子氏 映画監督


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●選考理由
 1953年から岩波映画で「村の婦人学級」(1957年、脚本・演出)など、教育映画、産業映画、文化映画を中心に69本の製作に参画したのち、初の自主製作による中編「薄墨の桜」(1977年)で注目すべきドキュメンタリー映画作家として登場した。
 以後、岩手・北上山地に継承される山伏神楽を守る人々を四季の変遷の中で描く「早池峰の賦」(1982年)、アキコ・カンダの舞踊創作の課程を追った「AKIKO あるダンサーの肖像」(1985年)、老人問題の真っ只中に入り込んだ「痴呆性老人の世界」(1986年)と北欧やオーストラリアの先進的な高年齢者福祉医療を視野に入れて考察を進めた「安心して老いるために」(1990年)、関西歌舞伎の大名題の舞台から私生活までに新しい光を当てた大長編「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」(1992〜95年)と、着実な活動が続いている。
 作品は、いずれも岩波ホールで上映されて、高い評価を受けている。長期にわたって対象に密着しながら、細かな心遣いと節度を保つ、そのドキュメンタリストとしての毅然とした姿勢は、見る者を啓発しながら、その心に暖かい感動を呼び起こした。民俗芸能、モダン・ダンス、老人問題、歌舞伎の名優、描く対象とその切り口は変転しているように見えるが、その底には一貫して、人間が“生きる”ということは、どういうことなのか?という普遍的で根源的な問いかけがある。
 モントリオール世界映画祭、ハワイ国際映画祭(作家特集として4本が紹介された)、アメリカ・マサチューセッツ州ハンプシャー、アムハースト両大学、ニューヨーク・ジャパンソサエティー、英国のジャパン・フェスティバルなど、海外の映画祭や映画関係イベントでも作品が上映され、国際的にもその作品の素晴らしさは、広く認知された。

      

贈賞式の模様(1998年7月27日)


賞状をお受け取りになる羽田澄子氏


受賞の挨拶をされる羽田氏




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